介護過程について分かりやすく解説「意義・目的編」
前回「入門編」では介護過程の概要についてお伝えしました。
今回は「意義・目的編」です。
「出た出た!また小難しい内容なんでしょ?」
はい!小難しい内容です!(自信満々です)
しかし、「どうして介護過程が重要なのか?」という根拠が分かってないと、それこそ「単なるカッコつけ」で終わってしまいます。
(根拠にもとづいたケアに関してはこちらも合わせてお読みください→「なぜ?なぜ?」編)
みなさんが「自信を持って適切なケアが提供できる」ように分かりやすく説明していきますので、
どうか読んで頂けると幸いです。
介護に関する考え方や価値観は様々だと思います。
私の個人的な観点も含まれますので、賛否両論はあるかと思いますがよろしければご参考になさっていただけると幸いです。
中央法規さんの「介護福祉士養成講座9 介護過程」のテキストを参考に説明していきます。
それでは早速いきましょう!
介護過程の意義・目的
なぜ「利用者の生活課題を解決するための思考過程」が、介護福祉士に求められるのでしょうか。
それは、介護福祉士が利用者によって異なる生活課題に応じて、その人らしい生活ができるよう支援をする役割をになっているからです。
つまり、個別ケアの提供につながります。個別ケアの提供のためには、介護過程の展開にもとづく介護実践が不可欠ということです。
(中央法規 介護福祉士養成講座9 介護過程より引用)
専門知識の統合
介護過程の展開は、経験的、または場当たりに行えるものではありません。
生活課題を明確にするには、1つに※専門知識、2つにそれを用いた課題解決思考が求められるからです。
※専門知識・・・厚生労働省が指定する介護福祉士養成施設等においては、1850時間の学習時間が設定され、対象者の心身の状況に応じた介護ができるように専門知識と技術に関する教育内容が定められています(養成施設ルート)
(中央法規 介護福祉士養成講座9 介護過程より引用)
介護福祉士養成施設の学校で学んでいる方はすごい時間数勉強されているんですね。
介護職のエリートですね。
余談ですが、私は養成校の出身ではないので現場で働きながら介護福祉士の試験のために仕方なく嫌々勉強してました。
(おかげで2回筆記試験に落ちましたが・・・)
真面目に勉強しようと思ったのは介護福祉士の資格を取ってからですね。
(どうして真面目に勉強しようと思ったかは別の機会にお伝えします)
話を戻します。
専門知識を持っていれば良いかという訳ではなく、専門知識を用いた課題解決思考も必要なことです。
専門知識をもっていても、それをどのように組み合わせたらよいのかがわかっていなければ、その知識はいかせないからです。
(中央法規 介護福祉士養成講座9 介護過程より引用)
私の個人的な意見を付け加えると、どれだけ素晴らしい知識や技術をもっていても利用者さんから、
「あなたには介護してもらいたくない」
と、言われてしまったら何もできません。
そこには、利用者さんと介護職の間の「信頼関係」も欠かせない要素だと思います。
専門知識を利用者さんのためにどう使うか、介護者側の自己満足でなく利用者さんの生活課題の解決という目的にその知識を活かさなければいけないと思います。
介護福祉士の専門性
ちょっと例を挙げて説明していきましょう。
例えば、同じ片麻痺がある方でも同じ支援でよいでしょうか?
Aさん・男性・45歳・左片麻痺
「麻痺があってもリハビリをそてがんばりたい」と思っている。
Bさん・女性・70歳・右片麻痺
「麻痺が残るなんて、もうだめだわ」と思っている。
Cさん・女性・50歳・左片麻痺
「私も麻痺になって母の介護をどうしよう」と思っている。
みなさんお分かりだと思います。
同じ片麻痺があってもその人の※性別、年齢、生活歴、思い、が違えば支援の方法は異なってきます。
(※性別関しては多様性の観点からより慎重に考えていかなければいけない時代だと個人的には思います)
なぜその人に、そのような支援を行ったのか、説明できるのが専門性をもった介護福祉士のあるべき姿です。
(中央法規 介護福祉士養成講座9 介護過程より引用)
私個人としては、青字の部分がとても大切だと思います。
さらに、
介護福祉士にとって、介護過程の展開を身につけることは、まさに介護福祉士の専門性を発揮するために必要不可欠です。
介護福祉士の専門性とは、介護福祉士が行う介護実践の1つひとつに、科学的な根拠があるということです。
(中央法規 介護福祉士養成講座9 介護過程より引用)
要するに、
例えばご家族から「どうしてこういうやり方(ケア)をうちのおばあちゃんにしているのですか?」と聞かれたときに、
「このやり方がやりやすんです・・・」とか
「先輩からこうやって教えられたので・・・」とか
「いつもこのやり方で特にご本人から何も言われないので・・・」
等の答えが介護職から返ってきたら、ご家族はどう思うでしょうか?
現代は情報化社会です。スマホで検索すれば簡単に何でも検索できます。
(それが正しいかどうかは別として)
介護職は今まで以上に専門的な知識や技術が求められる時代だと思います。
根拠(エビデンス)のある介護
出ました!私の大好物「根拠のある介護」
ここは本当に重要なキーワードだと思います。
重要なだけに熱く語ってしまいますが我慢して読んでください。
まずはテキストより
今日の介護実践に問われているのは、根拠(エビデンス)のある介護実践です。ではなぜ、根拠のある介護実践が求められるのでしょうか。
介護保険制度では、保険料の拠出(権利)に見合うサービスの提供(義務)が求められています。
(中央法規 介護福祉士養成講座9 介護過程より引用)
平たく言えば、「利用者さんから保険料を頂いているのでそれに見合ったサービス(根拠のある介護)を提供しなさいよ」という事です。
我々介護職のお給料には利用者さんの納める利用料も含まれていますよね。
という事は「利用者さんはお客様」なのです。
しかし、以前の私はこの「利用者さんはお客様」とい考えがありませんでした。
施設介護職だったというのを言い訳にしてはいけませんが、在宅介護職に比べるとご家族への対応の頻度やご自宅へ伺ってのサービス提供ではないので、
どこか「自分のテリトリー内で仕事をしている」という感覚でした。
利用者さんへの接遇やケアが他者(ご家族等)に直接みられる機会が少ないので「いい加減な対応」をしてしまっていた時期もあります。
どこかでブレーキをかけないとその「いい加減な対応」はやがては「不適切な対応」を経て最終的には「虐待」に繋がっていくと思います。
「そんな大げさな」と思われるかもしれません。
介護の仕事をはじめたばかりの時は「利用者さんに楽しく安心して過ごしてもらいたいなぁ」という思いが強かったと思います。
ずっとその思いでお仕事をされている方は素晴らしいと思います。
私も新人職員のころはそうでしたが段々と年数を重ねると、
「どうやって速く、効率よく業務をこなすか」、「時間内にどれだけたくさんの利用者さんを入浴させることができるか」、
「他の職員よりもテキパキ動きたい」等々。
新人の頃の思いとはかけ離れたところにいた時期もありました。
「自己中心的な介護」になっていました。
それが全て悪いという訳ではなく、そこには「利用者さん」がすっかり抜けていました。
施設介護では多数の利用者さんを少数の職員でしかも時間内でケアするという場面があります。
時間を気にしながら効率的に動くことも重要です。
要は「バランス」が大切だと思います。
ちょっと介護過程から離れてしまいすいません。
サービスを受ける側も提供する側もお互いに「どうしてこのケアを受けている(もしくは提供している)のか理解している(了承している)」事が大切だと思います。
ご利用者さんの中には認知症等でご自身の受けているケアが合っているのかどうか判断ができない方もみえます。
そういう方にはより丁寧な対応が求められると思います。
根拠がなく半信半疑のままケアを提供すると、それが介護者の手足を通じて利用者さんに直接伝わります。
もちろん新人職員さん等不慣れな職員さんは最初は自信はないと思います。
しかし、指導者から介護過程を通じての適切な指導があれば、技術的には不慣れな新人職員さんであっても、
「こういう根拠でこの方へはこのケアを提供しているんだ」
という思いで利用者さんに向き合っていけると思います。
それを意識するかしないかで、その先の成長度合いに大きく違いが出ると思います。
テキストより、
日々提供されている介護サービスが、提供場面においてどのような役割をにない、利用者の何につながっているのかについて、
介護福祉職が認識できていない場合は、単なる業務としての断片的な介護実践になりがちです。
それは、本来の介護サービスとは大きな違いを生じることになり、利用者の権利に見合う義務を果たしていないことになります。
(中央法規 介護福祉士養成講座9 介護過程より引用)
以前の私のような「業務中心の介護」にならないようにするめ、そして「介護の基礎的な思考を身につけるため」には
「介護過程をマスターすること」が必要だと思います。
これは新人職員さんだけでなく、指導的立場の職員さんにも指導の際には介護過程を意識してほしいなぁと思っています。
今回はここまでです。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
次回は、介護過程について分かりやすく解説「介護過程の全体像編」です。
お楽しみに!
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