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認知症の感情残像の法則

知れば介護が楽になる「認知症をよく理解するための9台法則・1原則

頭はボケても、感情だけは残るー第❺法則 感情残像の法則

「記憶障害に関する法則(記銘力の低下)」のところでも述べましたが、認知症の人は、自分が話したり、

聞いたり、行動したことは、すぐに忘れてしまいます。

しかし感情の世界は、一度目にした光景があとあとまで残像として残るようにしっかりと残り、

本人がそのときいだいた感情は長期間つづきます。

これを「感情残像の法則」といいます。

やっかいなのは、楽しいできごとはすぐに忘れても、いやな思いをしたという感情だけはいつまでも残るのです。

気をつけたいのは、次のようなケースです。

家族は、たとえばお年寄りが認知症になったと知ったとき、最初のうち「とまどい・否定」「混乱・怒り・拒絶」

といった心理におちいります。

そのため、少しでも認知症を軽くしたいと思い、お年寄りに対していろいろ教え込もうとしたり、説明をしたり、

注意したりしかったりします。

しかし、このような努力はほとんどの場合、功を奏しないばかりか、かえって症状を悪化させてしまいます。

たとえば、家族が「不潔にして病気になるといけないからお風呂に入りましょう」とか

「寝たきりにならないよう、リハビリをしましょう」と呼びかけたとします。

しかし、どんなにやさしく言っても、「うるさい」「よけいなお世話だ」と怒り出すお年寄りが多いのはなぜでしょうか。

家族はお年寄りのためを思って言っているのに、なぜ怒るのかわからずにとまどいますが、

しかしお年寄りにしてみれば、自分が「不潔」とか「寝たきり」と言われたことのみが゛いやな感情゛として残り、

言った相手を、うるさい人、いやなことを言う人、こわい人ととらえてしまうのです。

そのため介護はますますむじかしくなってしまいます。

認知症の人は、記憶などの知的機能の低下によって、一般常識が通用する゛理性の世界゛から出てしまって、

゛感情が支配する世界゛に住んでいると考えれば、こうしたこともよく理解できます。

これは動物の世界に似た一面があるとも考えられます。

弱肉強食の世界にいる動物たちは、相手が敵か味方か、安心して気を許せる対象か否かをすみやかに判断し、

感情として表現します。認知症の人も実は同じような状況におかれているのです。

安全で友好的な世界から抜け出てしまった認知症の人は、感情を研ぎ澄まして生きざるをえないのです。

ただし、残るのは悪い感情ばかりではありません。

「よい」感情も残るのです。

ですから介護者は、お年寄りにはよい感情を残すように接することが大切です。

対応のポイント

認知症の人は、介護者の気持ちを映す鏡のような存在です。

つまり介護者がイライラして接すれば、お年寄りの気持ちも不安定になります。

逆にお年寄りの気持ちを理解し、認め、やさしく接すれば、お年寄りのほうも症状がおさまり、

おだやかな表情になっていきます。周囲の人は、本人ができるだけおだやかな気持ちになれるよう、

心からの同情の気持ちで接することが必要です。

つまり、認知症の人を介護するときには、「説得よりも同情」なのです。

そうはいっても、毎日の介護は大変です。いつもニコニコと親切に、よい顔ばかりできるわけがありません。

演技でもいいのです。

介護が大変な時期ほど、苦労を少しでも軽くしたいと思うなら、認知症の人によい感情を残すように

あたたかく接することがポイントです。

認知症の人によい感情を残すためのポイントは3つあります。

最初にほめたり感謝する言葉を

こんな例ををみてみましょう。

認知症のお年寄りが、まだ濡れている洗濯物をとり込んでしまったとします。

あなたなら、どう言いますか?

「まだ乾いてないのに、おかあさん、どうしてわからないの!」でしょうか。

それとも、

「まあ、おかあさん。手伝ってくれてありがとう。あとは私がやりますから、休んでてください」

でしょうか。

言いかたしだいで、その後の介護がむずかしくもなれば、楽にもなるのです。

同情や共感を示す

財布がなくなったと騒いだり、おまえが盗んだと疑ったりする認知症の人には、まず、

「なくなったの?それは大変ね。困ったわね」

と、相手の気持ちになって声をかけてあげます。いっしょにさがしてあげて、それが見つかったときは

「よかったね」と言えば、症状はしだいに落ち着いてきます。

あやまる

「ごめんなさ。いま食事を用意していますからね」

「ごめんね、オムツをとりかえましょうね」

お年寄りが不安に感じているときこそ、このように、先にあやまりながらやれば、スムーズな対応ができます。

最初のうちはむずかしいかもしれませんが

「どうもありがとう」「助かるわ」「それは大変ね」「それはよかったね」「ごめんなさい」

といった言葉が自然にでてくるようになれば、上手な介護ができているといえるでしょう。

介護
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