介護職員としての優しさとは?
私がこの仕事に就いてから2~3年目の頃のお話しです。
ある日の昼食時
ご利用者のAさん(女性)を昼食の為に居室から食堂まで車いすでご案内しました。
すると、食堂にいたBさん(女性)(この方のADLは自立で独歩の方)が私に向かって
「なんでゃ(なんだぁ)、その人ばっかり優しくして!」とバリバリの名古屋弁で言ってきました。
言われた瞬間は「え?何?優しくして何がいけないんだ?」と思いました。
確かにAさん(私が食堂へご案内したご利用者)は普段はご自分で車いすをこいで食堂まで行ける方なのですが、
その時は「連れて行って」と言われたので案内しただけのことだったのです。
が、
それがBさん(食堂にいたご利用者)には「いつもは自分で来れるのに、優しくしてくれる職員の時は甘えて」と映ったのでしょう。
そして何でも言う事を聞く私に対しても腹が立ったのだと思います。
この経験をしてからしばらくは悩みました。「優しくしたら文句を言われるなら、優しくしない方がいいのかなぁ。優しさって何だろうか?」
優しさってなんだろう?
すぐには答えはでませんでしたが経験を積んでいくうちに自分なりの答えを見つけました。
「優しさ=何でもやってあげる事」ではないと言う事です。
相手が何が出来て何が出来ないのか、出来ない事でもどう支援すれば出来るようになるのか、
それが「優しさ=自立支援」と言う事だと思います。
何でもかんでもご利用者の言う事を聞いて援助してしまう事は、ご利用者の「出来る事」まで奪ってしまう事になるのです。
まとめ
今回の件に関して考えると、普段は自分で移動できるAさんが「連れて行って」と言ってきた、
その時に「あれ?今日はどうしたんだろう。調子が悪いのかな?」ときちんと「アセスメント」しなければいけなかったのですが、
簡単にご利用者の要望に応えてしまったのがいけなかったのです。
ここでの「優しさ」とは本当に調子が悪くて支援を求めているのか、単に「面倒くさいから連れていって」と言っているのかきちんと見極めることです。
高齢者の介護をしているとよくある事ですが、職員がいると「あれやって、これやって」と依頼があるのですが、
職員がいないと、結構ご自分でやられている。というケースが多々あります。
もちろん、スパルタ的に「自分で出来る事は自分でしてください!」と言うのもよくありません。
時にご利用者は、「さみしさ」から「触れ合い」を求めてこちらに要望してくる時もあるからです。
介護職員にとって「アセスメント」のスキルは必要不可欠です。
ご利用者の日々の様子を観察し普段とどこが違うのか、その方にとっての「普段」とはどんな様子なのかを
把握することが大切だと思います。
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