車椅子での移動の際のポイント
今回も※新人職員さんや介護の仕事に初めて就いた方、これから実習に行かれる学生さん等に向けての実践的なテクニック等をご紹介します。
※本文中では「新人職員さん」で統一させていただきます。
指導的立場の方も指導の際の参考にしていただけたら幸いです。
基本的な介護技術や知識等については教科書や施設にあるマニュアル等でご自分で勉強してください。
ここでは現場ですぐに使えるテクニック等をご紹介します。
介護に関する考え方や価値観は様々だと思います。
私の個人的な観点も含まれますので、賛否両論はあるかと思いますがよろしければご参考になさっていただけると幸いです。
今回ちょっと長くなってしまったので2パートに分けてお伝えします。
Part①はこちらをどうぞ
両腕、もしくは片方の腕の位置は大丈夫ですか?
前回(Part①)で足の位置の確認に関してはお伝えしましたね。
もちろん腕の位置に関しても同様の「確認」が必要です。
身体が左右どちらかに傾いている場合、腕が車椅子の外に出ている場合があります。(全ての方ではありませんが)
これは私が実際に経験した事例です。
(事例)
あるご利用者さんを食堂へご案内した時のお話しです。
車椅子上で身体が左に傾いていたので傾きを修正しただけで、
「さて、レッツゴー!」(心の声です。実際にはちゃんと声かけしていますのでご心配なく)
と車椅子を押し始めると、
「ん?何かいつもより押しにくいというか、抵抗を感じるな」
と立ち止まり確認すると・・・
なんと!傾きは整えたけど、傾いていた方の腕が車椅子のタイヤに当たっていたのです。
幸い直ぐに気づいたのでケガをすることはありませんでしたが、もし気づかずにいたらケガをしていたかもしれません。
麻痺のある方は痛覚反応が鈍かったり、コミュニケーションが困難な方等は、
何か不都合があった場合こちらに上手く伝えられない時があります。
前回お伝えした「数秒間の確認」を怠ったたがためにご利用者さんに不快な思いをさせてしまいました。
車椅子の介助だけではありませんが介助の際は、
「全体を見る目」
が大切です。
一部分だけを見て「大丈夫」と思わずに、全体を確認したうえで介助を行ってください。
ゆっくり押しましょう
当たり前のことなのですが、まれに急いでしまって「なかなかの勢いで押してしまう」方がみえます。
車椅子は「車」とついていますが、自動車のように箱の中に守られているわけではありません。
普通の椅子に座っているのと同じ状態なので身体の前方には何もガードするものはありません。
介護の学校で勉強されている方なら、学生同士で車椅子の体験をしたことがあるのでお分かりかと思います。
普通に歩く速度(何をもって普通かは難しいですが)で押した場合、
押している方はそれ程感じませんが、押されている側は結構速く感じるのではないでしょうか?
私も何度かご利用者さんから「あ~怖かった!」とお叱りをお受けた事があります。
自分ではそれほど速いとは思っていなくても、ご利用者さんからすると「速い」と感じるのです。
ここでも「確認」が必要です。
途中でご利用者さんに「大丈夫ですか?速くないですか?」と声をかけましょう。
実はここでの確認は速度だけではなく、「姿勢の確認」でもあります。
車椅子を押し始めた時点では姿勢は整っていますが、ご利用者さんによっては
「短時間で姿勢が崩れてしまう」
方もみえます。
車椅子を押して移動している場合何らかの目的地に向かって移動していると思います。
目的地の方ばかりに目が向いてしまうと目の前のご利用者さんの様子を見落としがちになるので気をつけてください。
ここでも「全体を見る目」が必要です。
「なかなかの勢いで押してしまった」結果
これも私の経験した事例をご紹介します。
(事例)
あるご利用者さんをエレベーター前までご案内するために車椅子を押していました。
(ちょっと業務が押してしまい内心焦っていました。)
廊下を「なかなかの勢いで押して」しまっていました。
私はエレベータの方に視線がいっていました。
そして、ある居室の前を通りかかったところ、
出入口から別の職員さんが出てきました・・・
はい、もうおわかりですね。
この職員さんとぶつかりそうになりました。
居室から出てきた職員さんもびっくりしたと思います。
お互い様なのですが、こういったリスクも実際の現場では起こります。
以前「ケアと作業は分けましょう」という記事の中で「ケアはゆっくり」、「作業は手早く」
とお伝えしましたが、まさにその言葉を実行しなかったがために起こってしまった出来事です。
「車椅子を押す」というケアひとつをピックアップしてみても、これだけのポイントがあります。
(まだまだありますが今回はこの辺にしておきます。)
介護職員は「介護のプロ」です。
常にプロ意識を持ってご利用者さんのケアを行ってほしいと思っています。
今回はここまでです。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
次回もお楽しみに!
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