車椅子での移動の際のポイント
今回も※新人職員さんや介護の仕事に初めて就いた方、これから実習に行かれる学生さん等に向けての実践的なテクニック等をご紹介します。
※本文中では「新人職員さん」で統一させていただきます。
指導的立場の方も指導の際の参考にしていただけたら幸いです。
基本的な介護技術や知識等については教科書や施設にあるマニュアル等でご自分で勉強してください。
ここでは現場ですぐに使えるテクニック等をご紹介します。
介護に関する考え方や価値観は様々だと思います。
私の個人的な観点も含まれますので、賛否両論はあるかと思いますがよろしければご参考になさっていただけると幸いです。
今回ちょっと長くなってしまったので2パートに分けてお伝えします。
まずは声かけをしましょう
「も~。また声かけですか?ちゃんとやってますよ~。」
はい、ありがとうございます。
ちゃんとやっていただいているのは承知しています。
「声かけ」に関してはこちらをどうぞ
では、車椅子での移動の際に気を付ける声かけとは?
車椅子を押すときはご利用者の後方から押しますよね。
そうすると介助者側から見るとご利用者さんの姿を確認したうえで介助ができますが、ご利用者さん側からするとどうでしょう?
もし声かけ無しでいきなり後ろから車椅子を押されたらどうなるか・・・
これは高齢者にとっては絶叫マシン並みの恐怖と驚きだと思います。
まずは、ご利用者さんの顔を見て声をかけましょう。
この「顔を見て」というのがポイントです。
後方からご利用者さんの顔も見ずに声をかけても、ご利用者さんは気づかない場合があります。
例えば、耳が遠かったり、ご自分の名前が認識できなかったり、何か他の事(例えば、おやつ中だったり、誰かと会話をしていたり)
をされている時などはこちらの声かけに気づきにくいです。
声をかける際はご利用者さんの顔を見て、
(例)「今からお風呂にご案内しますから、車椅子押させてもらいますね」
と目的をしっかり伝え、ご利用者さんに介助者側の意向を承諾していただいたうえで介助をしましょう。
※たとえ介助者側の声かけに対してリアクションができないご利用者さんであっても同じ気持ちで接してください。
「足が落ちてるよ!」
このセリフ、私が新人職員の頃よく言われました。
これは、車椅子のフットレストからご利用者さんの足が落ちているのに気づかずに介助をしていたからです。
実はこのシチュエーション、ベテラン職員さんでもちょいちょいやってしまう事なんですよね。
それぐらい見落としがちなポイントです。
が、
見落としてしまうと大怪我に発展する可能性があります。
フットレストから足が落ちたまま車椅子を押したらどうなるか?
想像はつくかと思います。
足が床とすれ足を巻き込み足首をねんざ、もしくは骨折してしまうかもしれません。
フットレストから足が落ちていないかの確認は数秒間でできます。
この「数秒間の確認の重要性」というものが介護の現場(他の職種でも同様だと思います)では様々な場面で出現します。
これを怠ったがためにヒヤリハットや事故報告という結果を招いてしまします。
決して脅しているわけではありません。
ご利用者さんに安全で安心した生活を送っていただくために介護職員として「リスクマネジメント」は必須です。
これに関してはまた別の記事でお伝えします。
私がこの仕事に就いた頃に比べると、特別養護老人ホームでは車椅子を使用される方があきらかに増えています。
車椅子は単なる移動の道具ではなく、ご利用者さんにとっては身体の一部です。
車椅子は大変便利な移動手段ですが、
「扱う者の扱い方によっては危険な乗り物になってしまう」
と言うことを忘れないでください。
今回はここまでです。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。
次回もお楽しみに!
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