知れば介護が楽になる「認知症をよく理解するための9台法則・1原則
身近な人に対するほど強い症状を見せるー第❷法則 症状の出現頻度に関する法則
認知症の症状は、相手が身近であればあるほどより強く出る、という特徴があります。
つまり、日夜大変な苦労をしながら介護をしている家族に対して、もっとも強い症状をあらわすわけです。
この「出現頻度の法則」が理解できないと、介護者と周囲の人たちの間で、認知症の症状の理解に大きな差ができてしまいます。
多くの家庭で発生しているのが、次のような問題です。
「一生懸命お世話しているのに、お義母さんは感謝してくれるどころか、私の事を泥棒と言ったりする」
とお嫁さんがつらい思いをし、くやし涙を流して訴えても、いっしょに暮していないほかの家族(夫の兄弟姉妹など)は
実態を知らないため、「おおげさすぎる」と言ってお嫁さんの苦労に感謝しないばかりか、
むしろ「親を悪く言われた」と非難するといったケースです。
認知症の人は、なぜこのような「いじわる」ともとれる行動をとるのでしょうか。
なぜ、認知症の症状が、相手が身近な人であればあるほどより強くでるのでしょうか。
可能性として考えられるのは、お年寄りは認知症になると「子ども返り」をするのではないかということです。
子どもは、いつも世話をしてくれる母親に対して甘えたり、わがままを言って困らせます。
ところがよその人には、意外にしっかりした態度をとるものです。
母親をもっとも身近に感じ、信頼しているからこそ、わがままもでるのです。
認知症の人も、いつも近くにいて介護をしてくれる人をいちばん頼りにしているからこそ、症状を強く出すのではないかと考えられます。
対応のポイント
「症状の出現頻度に関する法則」を知ることは、特に介護者の周囲にいる人にとって重要です。
「おばあちゃんは、ずいぶんしっかりしていますよ。そんなにボケてないじゃないですか」
周囲のひとが、はげますつもりでかけたこんな言葉が
かえって介護者の気持ちを傷つけることもあるのです。
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